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Carlo Verdone and Robert De Niro – Ciak cover

カルロ・ヴェルドーネはイタリアを代表するコメディアン俳優、脚本家、映画監督。有名な映画評論家であるマリオ・ヴェルドーネを父に持ち、幼少期よ りフェデリコ・フェリーニ(F. Fellini)ヴィットリオ・デシーカ(V. De Sica)ピエール・パオロ・パゾリーニ(P.P Pasolini) アルベルト・ソルディ(A. Sordi)等の世界的な映画監督やアーティストに囲まれながら育つ。世界最古の映画学校でもあるイタリア国立映画実験センターにて映画監督の学士を取得 し、1970年代よりテレビ番組等で活躍。2005年にはイタリアで大ヒットした映画シリーズ『イタリア的、恋愛マニュアル』、『モニカ・ベルリッチの恋 愛マニュアル』、『昼下がり、ローマの恋』に三作続けて出演を果たす。2013年にはパオロ・ソレンティーノ監督による『グレート・ビューティー/追憶の ローマ』に出演し、本作は第86回アカデミー賞を受賞。

ワカペディアの見るカルロ・ヴェルドーネ

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Carlo and I during “The Graet Beaty” shooting

カルロとの出会いは、『追憶のローマ』での撮影現場だった。足を骨折して退屈してい たサラワカを、時間を忘れるくらいまで爆笑させたイタリアの国民的コメディアン兼映画監督。日本でいうと、北野 武みたいな感じ。カルロの作る映画には、全くバイオレンスが含まれていないけれど。映画の撮影中、あまりに多くの人が「そのギブスって本物なの?それともただの撮影用?」と聞いてきたので、私は面倒臭くなってしばらくイタリア語が話せないフリをしていた。そんな中で出会ったカルロの第一声は、一風変わったものだった。「ねぇ君って日本人なの?僕はね、ジョン・レノンが死んだ直後にオノ・ヨーコが書いた絵を持っているんだよ。」 ギブスには一切触れず、いきなりインパクトのある事を言ってきたこのおじさん。オノ・ヨーコの絵?!この人一体何者?!その言葉を聞いてから、それまで適当に受け流していたこのチョビひげおじさ んの話を、まともに聞き始めたサラワカ。そしてだいぶ時間が経ってから、ようやく彼が何者なのかに気付いた。国民的コメディアンと言っても、実はこれまで一 度も彼の作品を見た事が無かった上に、追憶のローマではメガネとチョビひげをつけていたので、更に誰だがわからなかったのだ!

でも、さすがに本人の前で 「あ!今やっと誰だかわかった!」と言うのは恥ずかしかったので、あたかも彼の事を知っているかのように話していた。そう、いわゆる知ったかぶり!(笑) でも彼が自分の作品に関して質問してきた時、私が何も答えられなかったのを見て、この知ったかぶりはすぐにバレてしまったようだ。撮影後、カルロはこれまで撮った映画の全作DVDに自分で書いた本まで添えて、それを実家に送ってきた。

すごい量の宿題が来てしまった・・・

でも驚いた事に、彼の映画を一つ一つ見終える度、どんどんカルロに対して愛着が湧いていった。今でも人生相談や恋愛相談など色々な悩みを聞いてくれる、イタリアの『北野 武』ことカルロ・ヴェルドーネ。彼はサラワカにとって、まるで親戚のおじさんのような存在なのだ。

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サラワカ:やっほ~カルレット(イタリア語の愛称:カルロっち)!元気にしてた?

カルロ:サレッタ(イタリア語の愛称:サラっち)久しぶりだね~、元気にしてたよ。実は9月1日にヴェネツィアでロバート・ブレッソン賞 を受賞する事になったんだ!これまで著名な作家や映画監督が受賞してきたんだけど、コメディアンは初めてなんだよ!驚いたよ~。ところで君は元気にしてたかい?

サラワカ:う~ん、微妙。最近すごく好きな人がいたんだけど、3ヶ月で終わっちゃったんだよね・・・だからちょっと落ち込みぎみだよ(苦笑)

もうしばらくは恋愛なんかしない!!!情熱的な恋愛って、ホントに危険だよね。

カルロ:ははは!情熱的な恋愛ね~。懐かしい響きだよ。僕の作った映画新婚旅行(honeymoon)では3組のカップルが登場するんだが、その中の一 組はあまりに情熱的すぎて、新婚旅行という短期間の間にお互いのことを知り過ぎてしまうんだ。旅行から戻ったカップルはもうお互いに対して関心が持てず、 つまらない恋愛になってしまったというストーリーなんだよ。情熱は一気に注がないで、時間をかけて注いでいくものなんじゃないかい?良い恋愛関係を長く保 ちたいのであればね。 

サラワカ:そうだね~。きっと自分の中にあるイタリア人的な部分が全部出でちゃったのかもね(笑)そういえば、カルロ が作る映画にはいつも恋愛ストーリーが入ってるよね。例えば君と出会った最悪な日(Damned, the first time when I met you)での役は、まるでカルロ自身だよね!ちょっとダサくって神経質で、心配性な感じが(笑)何か心配事があると、すぐに薬を飲んでるしね(笑)

カルロ:ずいぶん立派に褒めてくれるじゃないか(笑)でも僕はアブナイ人じゃなくて、ただ薬剤に興味があるだけなんだよ。勘違いしないで!

サラワカ:あぁ。そ、そうだね・・・(あんまり変わらないと思うけど)

それじゃあ話は戻るけど、カルロはどんな恋愛関係が理想的だと思う?

カルロ:ん〜。信頼性や共通性とか色々あるけど、やっぱりバランスの良いカップルになるには、お互いに違った要素を持ち合わせているのがベストだよね。でも僕が思うに、やっぱり笑いのツボが一緒じゃないと駄目だな。

サラワカ:そっか~。さすが、コメディアンらしい回答だね!(笑)ねぇ、いつもどうやって女性にアプローチしてるの?日本にはジローラモっていうイタリア人タレントがいるんだけど、彼はすごい積極的に女性に迫るんだよ~!カルロは?

カルロ:あははは!僕は女性にアプローチするのがとても苦手なんだよ。シャイだし、特別ハンサムでもないし、典型的なラテン男とは正反対かな。女性の方から GOサインが出た時、初めてアプローチするっていうのが僕のやり方なんだ。だからそれまで、できるだけ相手のツボを押さえるようにするんだよ(笑)

サラワカ:なるほど~。きっとカルロの場合は、そういう面白さが魅力なんだろうね!面白さと言えば、イタリア人のユーモアについてはどう思う?

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Carlo Verdone’s movies posters

カルロ:それはイタリアの伝統的な風刺劇コメディア・デラルテの時代までさかのぼるんだけど、もはやイタリア人の中に生まれつき流れているものと言ってもいい んじゃないかな。例えばその時代は、劇場にコメディを観に行っていたよね。当時は、仮面や衣装を用いてユーモアを表現していたんだ。

僕はイタリア人は、社会問題を皮肉をたっぷりの笑いで表現することが得意だと思うけど、このユーモアは外国人から見ると、とても表面的に見えるようだね。

サラワカ:さすがローマ大学教授の息子!なんでも知ってるんだね~!

カルロ:まぁね(嬉しそう)。

サラワカ:やっぱりお父さんの影響は大きかったの?

カルロ:僕の父親は、初めてイタリアの大学で映画史/映画評論学科を作った人だったんだよ。だから幼い頃からイタリアの偉大な映画監督のフェリーニアントニオーリベルトルッチパゾリーニ等に囲まれて過ごしてきたんだ。

サラワカ:わぉ!そんなすごい環境で育ったなんて、うらやましいなぁ。カルロのお父さんって、アートコレクターでもあるんだよね?

カルロ:そうそう。彼はすごくアートが好きでね、アバンギャルド(前衛美術)の研究者でもあったんだ。

サラワカ:え?!フューチャリズム(未来派)ダダイズムとか?

カルロ:そういうことだね。

オノ・ヨーコの絵

Yoko Ono’s art

サラワカ:そんなすごい人がお父さんだったなんて・・・だからカルロもアートとか文化が好きなんだね〜。あっ!そういえば、オノ・ヨーコの絵を持ってるって言ってたけど、本当?

カ ルロ:そうだよ。あの絵は、ジョン・レノンが死んだ直後に書かれたものなんだ。その絵には『IMAGINE』の歌詞が書かれているんだけど、悲しみに沈ん だ彼女は、あの希望に溢れた歌詞の一部を雲で消してしまうんだ。とても意味深い作品だよ。僕がヨーコに直接掛け合って、4年かけてやっと売ってもらったん だ。彼女は本当に感性が豊かで、知的な女性だよ。

サラワカ:感性が豊かで知的な女性か~。よし!私もいつかそんな事言われるような女性になってやるぞ!!最後にお決まりの質問、キスしてちょーだい!

カルロ:え?うん、いいよ。何処にすればいい?

サラワカ:何処でもいいよ(笑)

カルロ:じゃあ、ほっぺたでいいかな?  ちゅっ

サラワカ:確認を取るなんて、カルロらしいね!

カルロ:僕はダサくって神経質で心配性な人だからさ。

(爆笑)

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Carlo Verdone for Wakapedia

Description & Interview: Sara Waka

Edited by:Yuliette