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Hiroki Yoshitake

佐賀県出身の吉武広樹シェフは福岡の中村調理学校を卒業後、アジア、中東、ヨーロッパ、アフリカ、アメリカを含む40か国以上を訪問。世界中の料理を学んだ後、2009年に渡仏。パリにある3つ星レストランの中でも予約を取るのが最も難しいと言われる「アストランス」にて修業を積む。201011月にSake Bar(サケ・バー)とPatisserie Ciel(パティスリー・シエル)のオーナー、ユーリンとの共同経営でパリ5区にフレンチ・ジャパニーズレストラン「SOLA」をオープンさせ、201314年には日本航空(JAL)とのコラボレーションとして、ファーストクラスとビジネスクラスの機内食を担当する。開始からわずか2年でミシュランの星を獲得したということで、今パリでも最も注目されているレストランの一つ。

ワカペディアの見るレストラン・ソラ

「Solaには行った?」「Solaの予約がとれない・・・」今パリ在住の日本人の間でよく耳にす

る、この名前。レストランSOLA(ソラ)、なんて響きの悪い名前だ。イタリア語のローマの方言ではSOLAは詐欺(さぎ)という意味なのだ。聞いた話だと、最近ミシュラン一つ星を獲得したらしい。でも星をとったからといって、高い金額を出してまで詐欺レストランになんて、絶対行きたくない!というのが、最初の正直な本音だった。ユーリン・リー(Youlin Ly)という友人に出会うまでは。

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Youlin Ly

ユーリンはチュニジアとカンボジアのハーフだけど、京都に何年か住んでいたので日本語はペラペラ。日本のお酒やウイスキーが好きという事でたまに飲 みに連れて行ってくれるけれど、私のお酒の知識の無さに驚いて説教するっていうのが、いつものパターン。自分のほうが彼より日本人のはずなのに・・・と毎回思う。そんなユーリンにレストラン・ソラの話を持ち出した。そうしたらなんと、ユーリンはレストランSOLA(ソラ)の経営者の一人ではないか!!行ってみたくなった・・・レストラン・ソラへ!

早速行ってみると店内は2階建てになっていて、下の階には掘りごたつがあり、靴を脱いで下駄箱に入れるようになっている。ヨーロッパでこれはめずらしい!内装は高級ホテルのスパのような雰囲気で、柔らかいライティングは谷崎純一郎の小説『陰翳礼讃』を思い起こさせた。

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Restaurant Sola

料理はどうだろう?・・・やっぱり期待を裏切らなかった!

現地の食材に和食材(ミソや醤油)を違和感無く取り入れていて、それを素材の味を活かしたソースと一緒に食べることで、和でも洋でもない味を出していた。なんだこれは?!

特に印象的だったのは、真ん中に盛り付けられたスープの端に、魚の切り身と小花が添えられた一品。まるで丸池に泳ぐ鯉を表現しているみたいだ!あっぱれ日本!!(?)

お皿には具材が上品に盛り付けられていて、華を添えるかのように付け合わせられたパンジーが、なんとも可愛らしい。テーブルに運ばれてきた時には、まるで色とりどりの生け花を見ているようだった。結果、私にとってSolaの料理は、日本庭園を思い出す『生け花料理』だ!と勝手に解釈。

サラワカ:CIAO! Mi chiamo Sara Waka

ヨシタケ:・・・?

サラワカ:ごめんなさい。今のはイタリア語です(笑)サラワカです!初めまして!お名前は?

ヨシタケ:あぁ、吉武広樹です。

サラワカ:前回Solaでご飯食べた時、美味しかったな〜。

ヨシタケ:(サラワカのあまりに軽快な口調に少々驚きつつ)・・・はぁ、ありがとうございます(笑)

サラワカ: Solaの料理を見てそして食べた時、なんだか生け花を見てる感じがしたから、勝手に私はSolaの料理を『生け花料理』って呼んでるんですよ!どう思いますか?

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生け花料理

ヨシタケ:い、生け花料理・・・?言われたことないんで・・・なんとも(笑)

サラワカ:お皿もすごい素敵な和食器で、デコレーションもシンプルなのにとても洗練されてましたよね!なんだかすごく『禅』っていう感じがしました。

ヨシタケ:あ~、日本庭園みたいとは言われたことがありますね。

サラワカ:そういえば、よくヨシタケさんの料理にはお花が使われてますよね?あれって食べられるお花ですか?

ヨシタケ:もちろん!花も野菜の一種なので、何でも食べれますよ。…って自分の中では解釈してますけど(笑)うちで普段使ってるのは、野菜や香草に咲く花やパンジー等をよく使いますね。香草と一緒に咲いてるものだと、花自体が香草の味がするんで。

サラワカ:なるほど!いつもは見ていただけのパンジーを、今回はパクッと口に入れましたよ!

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Sola – パンジののった料理

ヨシタケ:はぁ・・・そうですか、ありがとうございます(苦笑)

サラワカ: 料理のコンセプトは何ですか?

ヨシタケ:自分にしか作れない料理を作ることですね。前に、包丁を背負いながらアジア・中東・アラブ圏から始まってニューヨークあたりまで色々な国をバックパックで旅行したんですよ。

サラワカ:色々世界を周った結果、フランスを選んだ理由は?

ヨシタケ:ずっと日本にいた時からフランス料理をやってたんです。それで一年くらいかけて世界を周った時、やっぱりフランス料理をやりたいって改めて思ったんですよね。だからその旅行が終わった後フランスに来たんですけど、やっぱりその旅行の中で得た感性っていうのは、他の料理人とは違うのかなって。まぁ、それが自分の武器ですね。

サラワカ:おぉ!というのは?(興味深々なサラワカ)

ヨシタケ:アジアの香辛料だったり、日本の醤油や味噌だったり。

サラワカ:あぁ!確かに色んな国の食材を組み合わせていますよね!そういえば前にもSolaで、味噌とフォアグラを使った料理を食べました!

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Sola – 料理

ヨシタケ:そうそう。だから、フランス料理でも日本料理でもなくカテゴリーに当てはまらないような料理っていうのが、自分の料理かな。だから店の名前も、SOLA(空)っていうどこでも繋がっているものにしたんですよ。

サラワカ:実は・・・イタリア語だとソラって「騙す」っていう意味なんですよ(笑)だからイタリア人の友達をここに連れてくると「え、俺騙されるの?」って入るのを嫌がったりするんです!「騙されるけど、良い意味でね!」って答えるんですけど(笑)

ヨシタケ:へえ~!スペイン語だと確か、『唯一』って意味ですよね?まぁ、いいんじゃないでしょうか(笑)

サラワカ:あ、いいんだ(笑)じゃあ、自分の中でのフランス料理と和食って?

ヨシタケ:フランス料理も日本料理も、各地の風土の中で生まれたものなので、歴史の中から成り立った料理ですよね。でも自分がやろうとしているもの は、フランスにいるからフランスのテクニックと食材を使うっていうものではなくて、むしろその全く逆なんですよね。別にそこにはこだわらないし、枠にとらわれないのが自分のスタイルかな。

サラワカ:素晴らしい!それじゃあ最後の質問!ビックリしないでくださいね~、キスしてちょーだい!

ヨシタケ:はい・・・えっ?!キス?今?!

サラワカ:今です。

ヨシタケ:キスって、ビズ(フランス語でキス)ですか??

サラワカ:はい!その通り!

(真っ赤になってフランス式の挨拶、頬にキスをする吉武シェフ。)

その時だった。隣に座っていた、ヨシタケシェフの友人、Restaurant A.Tのシェフ田中さんが、「面白いインタビューだね!俺も参加しようかな。」(笑)と突っ込んだ。

ヨシタケ:びっくりした~!

サラワカ:しなくていいよ!

(爆笑)

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                                                                    Chef Hiroki & Sara Waka

Description & Interview: Sara Waka

Edited by:Yuliette